まむし咬傷のフローチャート 



 マムシ咬傷の治療   


来院時までの対応(電話等)

1) 受傷部位の処置

   近位側緊縛・安静保持

2)迅速な来院を指示

 

来院後の対応

1)
局所所見からマムシ咬傷であることを確認

2)vital・全身所見・アレルギー(マムシ咬傷)・および抗血清治療の既往歴をCheck

3)局所所見から腫脹の進展範囲Gradeを評価(Gradeの分類はフローチャート参照)

4)輸液・採血……細胞外液による十分な補液と採血を行う。

5)局所の治療


  消毒・切開・排毒・減脹切開を行う。

6)全身的な治療

(a)セファランチン®1A(10mg)+生食20mLを静注

(b)マムシ抗毒素血清1A(6000U)+生食100mLを側管より点滴静注

  例)サクシゾン500® or ソル・メドロール125® 500mg・グリチルリチン製剤

    ※GradeIII以上の腫脹や超急性期の血小板減少時マムシ抗毒素血清投与を考慮

(c)破傷風トキソイド1A(0.5mL)筋注

(d)広域スペクトラムの抗生物質……点滴静注

(e)重症時プロテアーゼインヒビ夕ー静注

(f )急性腎不全時

  循環動態不安定例やサイトカイン除去を期待してCHDFを考慮

                    ※ 小児例に対しては薬剤使用量は考慮する必要がある。
                    ※ 薬剤投与期間は腫脹消失を一つの目安とする。

   
入院後の対応

 腫脹を認める例では、入院継続・経過観察する。

 腫脹を認めない例でも入院にて経過観察し、遅れて進行してくる病状に対応する。
 
 
 

【マムシ咬傷の治療補足】 

 
 
 

−1 ・ 咬傷部の10〜20cm近位側を皮下静脈のみ圧迫する程度の強さで緊縛する。

     (動脈血まで遮断するのは逆効果)

       ・ 排毒は口による吸引や圧迫にて行う。(飲み込んでも胃液で分解されるため心配ない)

       ・ 受傷肢は、安静にして心臓より低い位置を保持する。

−2 ・ あわてて走ったりすると、局所の毒が全身に回る危険があるため、安静かつ迅速な来院を勧める。

   
 

−1 ・ マムシ咬傷の場合、牙痕ははっきり 2個あることが多く、腫脹・疼痛はほとんど必発する。

       ・ 腫脹が認められない例では、無毒蛇の咬傷や・毒の注入が少ない事もあるが、腫脹の増大や全身症状の出現

     を二昼夜位観察する必要がある。

−2 ・ マムシ毒の強い血管透過性亢進(作用)により、循環血液量減少によるショックが生じる場合もある。

       ・ 全身症状として、複視・霧視・嘔吐・心悸亢進、乏尿等が認められる。

       ・ 一般に全身症状合併例は、重症例として取り扱う。

       ・ 薬物等のアレルギー歴や、抗毒素血清使用の既往歴がある場合は、アナフィラキシーショックや血清病を起こす

     ことがあり、ショックに対応できる準備が必要である。

−3 ・ 腫脹の進展範囲を(Grade )で判定する。

−4 ・ 腫脹を認める全例に輸液、採血を行い、検査項目(WBC・PLT・CRP・AST・LDH・CPK・BUN・Cr 等)をcheckする。

−5 ・ イソジン等により消毒し、1%キシロカインにて局所麻酔後、牙痕に沿って5mm 程度切開する。

     (神経・血管を避け、筋膜より表層の深さまで)。

       ・ 局所の圧迫・吸引により蛇毒の排出につとめながら、生理食塩水で局所の洗浄を行う。

       ・ 受傷30分以内受診例では、1mL/kg 程度の脱血も有効である。

       ・ 凝固異常を伴う局所からの遅発性出血(潜伏期数時間)は、ヤマカガシ咬傷をも考慮し、その対策を行う。

     ※腫脹が高度で、末梢側の知覚・運動障害、末梢循環不全を来たした場合、(compartment syndrome が発生し

             そうな場合)に考慮する。

−6

 (a)・ セファランチンによる副作用はほとんど認められないため、全例に投与を行う。

       ・ 腫脹が軽減するまで、連日投与する。

 (b)・ 重症例に投与。受傷後 6時間以内にGradeIII以上に及ぶもの、また及ぶと思われるものを重症例とする。血清

          使用時は必ず感作テストを実施する。

       ・ 異種血清に対する感作テストは、陽性の場合でもその後の血清注射に問題がなかったり、陰性であっても血清

          病が生じる可能性があり、慎重に投与すべきである。(48時間後でも有効であったとする報告もある)

       ・ 緊急に投与する場合には、即時型反応への十分な準備を行う。

 (c)・ 基本的に全例に投与する。

 (d)・ 創部感染予防のために、全例に投与する。

       ・ 翌日より内服薬でも可能である。

 (e)・ 重症例には、各種サイトカインによる全身反応の予防・改善に投与を考慮する。

 (f )・ 血漿交換、血液吸着等が有効であったとの報告もある。

   
 

       ・ 入院にて重症例を見逃さないこと。

       ・ 注意深い観察によって、致命的な急性腎不全やDICに対する管理が重要である。

 
 
   







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